この世でハッピーに生きるコツ

Tips for living happily in this world

京都地裁 無期懲役判決|京都市西成区市営住宅強盗殺人事件

www.kyoto-np.co.jp

www.asahi.com

 

事件番号    
 令和3(わ)965

事件名    
 住居侵入,強盗殺人

裁判年月日    
 令和6年1月12日

全文

 

主 文
被告人を無期懲役に処する。
未決勾留日数中620日をその刑に算入する。

 


以下、Copilotによる全文の概要

【争点に対する判断】
 第1 争点
争点は、被害者が令和3年の7月11日から14日の間に、甲市営住宅の405号室で何者かに刃物で攻撃されて死亡したことについてです。証拠からは、被害者が攻撃されて死亡したことは明らかです。しかし、問題となるのは、被告人が強盗の目的で被害者を殺害したかどうかです。つまり、被告人が犯罪の動機として物を盗む意図があったかどうかが争われています。

 第2 争点に対する判断

A及びB(以下、2人合わせて「AB」という。)の供述について

被告人が被害者を殺害したという事実について、2人の目撃者(AとB)の供述が取り上げられています。AとBは、事件が起こった日(7月12日)の午後5時30分頃、自宅から被害者の住んでいた部屋(405号室)に何者かが侵入し、その人物が被害者に対して暴力を振るっているのを目撃したと述べています。その人物は「お兄ちゃん」と呼ばれており、被告人のことを指しています。
AとBの供述は信用性が高いとされています。彼らは被告人を以前から知っており、特徴的な服装などから被告人を認識していました。また、事件が起こった日の天候や視界に問題はなく、405号室に出入りする人物の顔をはっきりと見ることができたと述べています。
しかし、被告人が事件当日にマスクをしていたという防犯カメラの映像と、AとBの供述(「お兄ちゃん」はマスクをしていなかった)との間には矛盾があるように見えます。しかし、被告人が自宅から405号室へ移動する際にマスクを外していた可能性もあり、この矛盾は解消されます。
また、Aが事件直後に時計を見て時間を記録し、Bに伝えたという事実も、AとBの供述の信用性を裏付けています。被告人が事件後に自転車で逃走したという防犯カメラの映像と、AとBの供述との間にも矛盾は見られません。
以上のことから、AとBが目撃した人物が被告人であるという供述は信用性が高く、被告人以外の人物を誤認した可能性は低いと結論づけられています。
被害者が7月11日から14日の間に殺害されたとされています。目撃者AとB(AB)の供述によれば、被害者は7月12日午後5時30分頃に暴力的な被害を受けたとされています。被害者は規則正しい生活を送っており、7月11日を最後にその買い物が途絶え、7月16日には近隣住民が405号室から生活音が聞こえなくなったことから、被害者が7月12日に受けた被害が致命的だったと推測されます。ABが目撃した405号室に出入りした人物は、被害者を殺害した犯人であると認められ、その犯人は信用性の高いABの供述から被告人である可能性が高いとされています。

被害者を殺害した犯人は、405号室の固定電話機の電話コードを切断し たところ、その切断部付近から被告人のDNAが検出されたこと

被害者の遺体が見つかったとき、405号室の電話コードは切断されており、その切断部から被告人と被害者のDNAが検出されました。しかし、第三者のDNAは検出されませんでした。被告人は被害者が殺害される前の一度だけ405号室に入りました。被告人のDNAが電話コードに付着していたのは、被告人がそれを切断した可能性が高いとされています。しかし、被告人は電話機に触れたり、電話機の方を向いて話したりしたことはなかったと供述しており、被告人が被害者の家に入った際に電話コードにDNAが付着した可能性は低いとされています。


被害者を殺害した犯人は、被害者から多数の紙幣が入った財布を奪ったと ころ、被告人は、7月12日午後4時半頃には金策が尽きて所持金がほとんどなか ったのに、同日午後6時半頃には少なくとも現金9万円を所持していて、しかも、その入手経緯を明らかにしていないこと

被害者が普段から所持していた財布とカード入れが被害者の死後に見つからず、被害者がこれらを遺失したとは考えにくいため、被害者を殺害した犯人がこれらを奪ったと推測されます。一方、被告人は7月12日午後4時39分の時点で所持金がほとんどなかったにも関わらず、同日午後6時32分には少なくとも現金9万円を所持していました。被告人はこの金が以前に貯めたへそくりから来たものだと供述していますが、その供述は信用できないとされています。これらの事実から、被告人が被害者から財布を奪った犯人である可能性が高いと考えられます。
被害者が殺害されたのは7月12日午後5時30分頃で、その時間帯に被告人は外出と帰宅を繰り返しながら少なくとも現金9万円を入手していました。一方、被害者はその間に殺害され、財布が奪われました。これらの事実から、被告人が被害者を殺害し、財布を奪った犯人である可能性が高いと考えられます。しかし、被告人はその現金の入手経緯を明らかにしていません。

被告人が、7月12日の午後6時半過ぎに、それまで着ていた服と同種の 服を購入し、購入後すぐに着替え、それまで着ていた服を捨てたこと

被告人は、7月12日の午後6時半過ぎに、それまで着ていた服と同じ種類の服を購入し、すぐに着替え、古い服を捨てました。被害者が刃物で何度も攻撃され、犯人の服に被害者の血痕が付着した可能性があります。被告人が犯人であると仮定すると、被害者の血痕が付着した服を捨て、新しい服に着替えることで証拠を隠滅したと考えられます。しかし、被告人が妻に内緒で新しい服を購入し、すぐに着替え、古い服を捨てたという可能性もあります。これは、被告人が犯人でなくても説明できる事情です。総合評価
被害者を殺害した犯人が切断した電話コードから被告人のDNAが検出され、被告人が突然大量の現金を手に入れたことなどから、被害者を殺害した犯人が被告人である可能性が高いとされています。また、被告人が被害者を殺害した目的は強盗であったと推測されています。これは、被告人が金銭に窮し、被害者を殺害して財布を奪ったという事実から推測されます。しかし、被告人のDNAが他の場所から検出されなかったことや、被告人が証拠を隠滅する可能性があったことなどから、被告人が犯人であるとの認定を否定する証拠はありません。以上の事実から、被告人が強盗目的で被害者を殺害したことは間違いないと結論づけられています。

結論
以上より、被告人が強盗目的で被害者を殺害したことは間違いないと認められる。

被告人は、金銭的に困窮した状態で犯行に及び、被害者を殺害して財布を奪い、その大部分をパチンコに使いました。この行為は強く非難され、被害者を刃物で何度も攻撃して殺害した方法は残忍であるとされています。被告人は犯行を否認し、反省の態度を見せていません。これらの事情を考慮し、同種の事案(単独犯による強盗殺人)の量刑傾向を踏まえると、被告人が犯した強盗殺人罪は非常に悪質であると認定されています。被告人に前科がないなどの有利な事情を考慮しても、特別な事情があって酌量減軽を行うべきではないとされています。したがって、被告人に対しては、無期懲役刑を科すのが相当であると判断されました。訴訟費用の負担はないとされています。